すんごい料理本が出た! ずっとずっとこういうレシピ本を待っていた! 世界各国300地域の郷土料理のレシピを掲載した料理辞典がついに刊行!

akinobu oda

book food

2020.06.11

これぞ、まさにリアル・世界の料理ショウ!

すんごい本が出た! というか、ずっとずっとこんな料理本がほしかった。欲しくてほしくて、自分でつくろうと思ったことさえあった。というか、自分の最初のレシピ本、『なぎ食堂のベジタブルレシピ』は、ベジ料理本にみせかけて、実は7カ国の料理を作ってみせる本だったのだ(笑)。

でも、そんな小賢しいレベルとは二段も三段も違う、本気の『世界の郷土料理辞典』です! 「世界の料理ショー」とちゃいますよー、そんなこと言っちゃったりなんかしちゃったりして〜(太一郎リスペクト。でも、グラハム・カーの日本語吹き替えは黒沢良)。とにかく、東南アジアからインド、アフリカ、オセアニア、ユーラシア、アメリカ北〜南、そしてさまざまな諸島までを網羅した、まさにリアル世界の料理ショウ! もう、ホホホ座で見つけて2秒で買いました。買わんでどうする、というか、1年、レシピ本買わなくてすむね、これで。

正直、世界の料理をまとめた本って、いろんな方が作ろうとはしたんだと思う。でも、それがちゃんとできなかったのは、その土地土地の文化や人の生活にリアルに対峙しきれなかったから、だと思うんです。だけど、この本は、ちゃんとそれぞれの文化に根ざし、そこから生まれてきた料理をちゃんと拾い集めてきただけあって、軽いタッチだけれど、凄みがある。「作って食べて、感じてください!」って風な匂いがぷんぷんと伝わってくるのだ。

いやぁ、もう、楽し過ぎて(笑)。読むだけで作った気になるよ。もちろん日本では手に入らない食材もあるけれど、極力避けてる感じもするし、作りたくなる。ちなみに、自分のレシピ本では「こんな食材、手に入らないから作れない!」ってレビューが書かれていたけれど、それをなんとか手に入れようと頑張るのが楽しんじゃないのかなぁ、と思います。それを代用するのもアリだけど、その食材を手に入れる過程で、いろんな国の文化や生活習慣を知ることになったりする。そっちの方が面白いのになぁ、っていつも感じております。そして、その料理を食べることにより、もっとその国の文化を知ることができる、気がする。

こんな本、誰が作ったんだ、って思ったら、世界の料理 総合情報サイトe-food.jp」の代表の方だったんですね。お世話になっております、いつもいつも。ほんっとうにちゃんとしているんだよなぁ、このサイト。でも、それをまとめたにしても、こんだけのボリュームで2300円はとにかくありがたい。結局、ちゃんとそれぞれの国(と食文化)へのリスペクトがないと、こんな本は作れないんだ。そして、それを適当にやっちゃうと、ただの搾取になっちゃうんだろうな、と常々思う。

これさえあれば、インドのパラク・パニールもタイのカオソーイもチベットのトゥクバもパレスチナのマクルーバもスウェーデンのショットプラールもガーナのジョロフ・ライスも……なんでも作れるんだぜ。おい、ほんっとうに嬉しい限り。そして、本好きの方ならば絶対気づくはずだけど、この本、背がきれいに開くんですよ。かなりのページ数(300ページ超え)にもかかわらず、開くと、どのページを開いてもちゃんと閉じずにひらいたままになる。これ、大変なんですよ。結構、テク使ってると思いますよ。レシピ開けながら料理を作るわけで、それがしょっちゅう閉じたら、もう大変なんすから。

レシピだけでなく、ちゃんと世界中の文化、たとえばヴィーガニズムに関しても、丁寧に言葉を費やしております。エチケットやマナーの違いもばっちりと。

我が家では、しばらくは世界の料理まつりになります、ウチの家は。いや、それよりもしばらくは眺めて、いろんなことを想像して楽しもう。とにかく、一家に一冊のスンバラシイ本だと思います!