【RISO Tips】リソグラフを使って、汚れなく印刷をするために(多色印刷編) Part.1 (002)

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2020.09.07

ローラー汚れは基本的に回避できない。それゆえに、さまざまな工夫で乗り越えよう!

 

 

前回、紙送りローラーの清掃のお話をお伝えしましたが、今回は、具体的に多色印刷を行う際の、ローラー跡の問題を考えてみたいと思います。

 前回お伝えした通り、物理的に紙送りローラーがど真ん中に設置されているため、一度印刷したインクがローラーに付着、そして次の紙より、ローラーに付着したインクが紙を汚していく、という大問題なのです。リソグラフの多色印刷をよく見ると、こんなローラー跡が少し見えたりして、ほっとしたり悔しくなったりするものなのです。 

 そんなローラー跡をつけないためには、いくつかの工夫が必要です。

ドラムでのインク汚れ、というよりもやはりローラーによる汚れがメインになってきます。汚れる箇所はだいたい2箇所。


1. 最初の印刷部をしっかりと乾かす。
 リソグラフ印刷のインクは、悲しいかな、完全に乾くことはありません。ただ、印刷から丸一日程度置くことによって、水性インクの水が乾燥して、通常仕様で考えると色移りすることはほぼほぼありません。ローラーが上に乗る、という場合には、少なからず色はついてしまいますが、しっかりと乾燥させることにより、ローラーに色を付着させず進行できます(インクの色/種類、印刷面の濃さにもよります)。とにかく多色刷りをする場合は、最低1日は乾燥させましょう。
 また、印刷面に関してですが、ベタ(100%)は、どんな場合でも汚れやすくなります。線や文字はともかく、ベタ塗り部に関しては、最高でも88%程度(多くのリソグラファーの共通認識)にしておくのが良さそうです。

2. 最初の印刷でローラーが接する部分に印刷をしない。
 当たり前の話ですが、最初の印刷で、その後ローラーが接する場所(大体、巻き込みの4,5cmあたりと12,3cmあたり)に印刷部がなければ、それ以降の紙送りでもローラーが触れないがゆえに、問題なく紙送り→印刷が可能になってきます。つまり、最初の印刷では、できる限り印刷面が少ないカラーを印刷し、後で印刷面積が大きいものを印刷する、というやり方が基本と云えます。
 また、確実に汚れをつけたくない場合は、印刷部より大きな紙を用いて、これらローラーが接する部分をあとで断裁する、というやり方がおすすめです。かなり無駄紙が出て心苦しくなりますが、仕上がりは非常に美しくなります。3. 最初の印刷時のカラーに注意する。
 リソグラフの印刷は、カラーによって、濃度も違えば、乾き方もかなり違います。それゆえに、持っているカラーインクの特徴を理解していた方がいいと思われます。例えば、【蛍光ピンク】【黄色】【ブルー】【黒】の4色を2ドラム機で印刷する場合、その順番を考えることが、仕上がりに大きく関わってきます。
 リソグラフのカラーは、水性インクということもあり、刷り順によってかなり色味が違ってくることを留意しつつ(この点に関してはかなり面白い&難しいので、後日詳細にお伝えする予定です)、できる限り濃度の薄い色、この場合は、【蛍光ピンク】【黄色】を刷ったあと、一度乾燥させた後、【ブルー】と【黒】を刷る、という計画を予め行って印刷すべきです。この順番を検討するだけで、実際にローラーに色がついていてもあまり目立たない、ということが多々あります。
 まずは薄い色から印刷→最後に濃い色を印刷、はリソだけでなく、多くの版画印刷の基本とも言えるでしょう。

4. 印刷時に【紙の厚さ】やローラーの圧力/角度を調整する
 リソグラフには、紙の厚さや紙送りを調整する機能がいくつか存在します。写真下の上つまみである程度の厚みをコントロール、また、ローラー左上の部分には【普通紙⇔厚紙】を調整する切り替えレバー等があります。これらは、紙の厚さを調整するだけでなく、紙剥がしのエアの調整やローラーとの圧力等も同期してコントロールしているようです。また下のつまみはローラーの位置調整になっていますので、こちらをいじることでも多少の調整が可能です。実はローラー部のネジを締めたり、緩めたりすることでまた別の調整が可能ですが、それはまた後日。 これらをいじることによって、紙送りローラーが紙にかかる圧を多少ですが、変えることができます。これらは紙の厚さや質によってもかなり違いますので、試行錯誤してください。

5. 消しゴムで汚れを消す
 リソグラフのインクは水溶性インクゆえ、印刷後、薄い汚れであれば、プラスティック消しゴムで消すことが可能です(えー、まじかよー!)。ローラー跡が付いたとシビアになるよりも、「後でこの程度だったら消しゴムで消そう!」と軽く考える方が、仕上がりも早く、気楽にできると思います。ただ、印刷後すぐに消すと、インクの汚れを還って広げてしまう可能性もアリ。それゆえに、落ち着いた状態でゆっくりと消しゴムで汚れをイレースすることをオススメします。

 まだ他にも未開発の「ローラー汚れから逃げるTips」もあるのですが、それはまた今度。ローラーを真ん中に置いた理想科学の開発者を恨みつつ、次は「両面印刷で、汚れなく印刷する方法」をお伝えします。でわー。