汚れが付着するのには、いくつもの要素があります。だからこそ、まずは丁寧に清掃することから始めてみましょう。
自分は、この5年間、ずっとリソグラフを使って印刷をしております。そんな中、ふと思い立って、「あぁ、こうしたらいいのか!」と思ったTipsを自分の中でまとめるために少しずつ紹介していこうと考えました。忘備録(備忘録?)というヤツですね。これらは、自分が経験してきて学んだ内容であり、機械ごとの個体差ももちろんあれば、マニュアルに載ってることではないので、オフィシャルには認められないことも多いでしょう。つまり、こちらでもメーカーでも責任は取れないのでご注意くださいませ。それぞれ使う方の自己判断で、使うか使わないか考えていただければこれ幸いです。それでは、まいりましょー! まず第一回目は、リソグラフを使いはじめてだれもが苦労する「なぁんとなく付いてしまうインク汚れをどうするか?」についてです。これに関しては、さまざまな方法もあり、紙質や、インクの濃度も大きくかかわってくるので、一概に「コレ!」というのはなかなかないわけで、だからこそ、ひとつひとつのシチュエーションについて考えていきたいと思います。
ということで、今回は、「紙送りローラーについて」です。
とにかく楽しくて、とにかく面白いリソグラフ印刷ですが、誰もが避けることができない大問題があります。それは、印刷用の紙を送るローラー(▲写真)が、紙のど真ん中に配置されている、という事実! つまり、真っ白な紙に印刷する場合であればなんの問題もないのだけれど、「多色刷り」をするために、一度刷った印刷物の上にもう一度印刷しようと思った時に……
① 紙に印刷されたインクがローラーに付着。
② 次に送り出される紙に、ローラーに付いたインクが付着。
③ それ以降は、どんどんローラー跡が紙に付着し続ける。
という悪循環で紙を汚し続けるのです。この問題は本当に深刻で、世界中のリソスタジオやリソグラファーが話し合うQ&AサイトがFacebook内にあるのですが、そこでも時折「あれ、どうにかならない?」って質問が来るものの、結局、「無理!」で終わる、というほどの大問題です。実際、「なんでこんなど真ん中に紙送りのローラーを配置しているんだよ!」と思うでしょうが、よくよく考えてみれば、リソグラフって、元々コピー機の延長みたいなもので、多色刷りとかするために作られた機械じゃない、ってこと。こうやって、何版も重ね合わそうとするような輩のために作っていないのです。ただ、この大問題を理想科学の開発部の方に言ったところ、「すぐには無理かもしれませんが、いつか紙の左右のローラーで紙送りできるような特別なアダプターを別売りで作れるかもしれない」とのこと。だから、なんとか、奥歯を噛み締めながら待ちましょう……以上!
1. ローラー自体を清掃する
で、終わるわけにはいかないので、まずはいくつか対策を考えていきましょう。一番、やるべきことは、この紙送りローラー自体が結構汚れている、ということ。この汚れを取ることから始まります。普通に使っていても結構汚れるので、毎朝、使う前に一度ここのローラーを拭いてから始める、という習慣をつけるのもひとつの考えです。一番簡単なのは、直接マイクロファイバークロス(どんな雑巾でも良いのですが、毛玉や糸がでないマイクロファイバークロスが一番作業しやすいと思います)で、直接ゴシゴシと拭く、というもの。これで結構汚れが落ちますが、実は紙送りローラーは手前に見えているものと、奥にもう一個あり、この奥のローラーが汚れていることもあったりします。ただ、この奥のローラーは、そのままでは拭ききれません。
2. ローラーを取り外して、それをマイクロファイバーで拭く
それでは、ということでローラーを取り外してみましょう。こちらのローラーは、実はめっちゃ簡単に取り外せます。まずはこのプラスティック製の「爪」みたいな部分を丁寧に取り外します。
これは、結構壊れやすく、かつ「ペンっ!」ってはめ込もうとするとどこかに飛んでいってしまうパーツなわけで、気をつけて取り外しを行ってください。もし理想科学のサポートを受けている方は、10個単位で買っておくのもあり。実際、これがなくなったらローラーを設置することができないので、ぜひ一度ご交渉をば。
このパーツ、手前のローラーを外すためには1箇所、奥のローラーを外すためには2箇所外さねばなりません。そして外せたら、食器洗い用の中性洗剤か灯油を用いて(灯油最強!)ゴシゴシと拭き取ってください。リソグラフのインクは「エマルジョンインク」と呼ばれる、水性インクを油(かつては大豆油、最近は米ぬかオイル)を混ぜて乳化させているもの。それゆえに、水性のようにアルコールでも取れないし、油性のようにシンナー系はもちろん危険です。個人的には、灯油を一番オススメします。
これらをできる限りこまめに清掃することによって、無駄なローラー汚れは軽減できると思います。
3. ローラー下のパッド清掃
気づきにくい汚れのひとつに、ローラーの下のゴムパッドの汚れがあります。これは普段何枚もの紙が積まれていて、それを送る場合は問題ないのですが、最後の1枚や、手差し的に1枚ずつ送る際に、思わぬ場所に汚れが移ります。こちらも時々洗浄してみると、驚くほど汚れていたりします。
もちろん、コレ意外も、本体内の紙送りベルトの汚れや、ドラムから紙をエアで外す部の先等、汚れを導き出す場所は数多くあります。どこが汚れやすいか、ひとつひとつ潰していきましょう
そして、第二回目は、「多色刷り編」です。乞うご期待。