あの! なのか、いや、どの、なのかよくわからないけれど、それでも、かの『ロック自身』の最新号が出ていた、ということに歓びを感じている。

Indie zine

2020.05.28

「ロック自身」というフリーペーパーを読んだことがあるかい?

「なんで25年住んだ東京から、京都に帰ってきたの?」と訊かれたら、「ロック自身が読みたかったから」と答えよう、これからは。

なんだ、「ロック自身」って。知ってる人は知ってるだろうし、知らない方はまったく知らないだろうけれど、今から20年近く前から、時折思い出したかのように(と、いうか、当初は結構なペースで配布されていた)、京都のアンダーグラウンドな街角のフライヤーの影に、ポンっと置かれているフリーペーパーのこと。星直樹さんが一人で、自分の日常をA4サイズのコピー用紙にみっちりと書き連ね、「ふーーん」と大抵は通り過ぎていってしまうような、アレ。初めて「ロック自身」を見たのは、もう自分が京都を離れてしばらくしてから。その「星直樹」と、ムード歌謡歌手のようなその名前も相まって、どこかの誰かが「と、いうような嘘」だと当初は思っていたこともあったんだけれど、まぁ、どうも……ただ単に、とあるロック青年……そして今やロックが好きな(最近はブルーハーブが好きらしいけれど)中年の方の普通の日常。それだけ。

それだけなのは分かってる。分かってるけれど、何のドラマを期待しているのか? いやはや、そんなドラマ、あんましありませんってば。と、いうか、十年一日のように、星さんは、日常を普通に楽しんだり、ちょっと愚痴をたれたり、時折、音楽を演奏してみたり、している。そんな日常が、流れてるのが、とにかく嬉しい。

ホホホ座浄土寺センター松本さんに、「実は、星くんと一緒にアルバムを作ったことがあるんですよ!」と聴いて驚いた。え、ちゃんと演奏している人だったんだ。どこか、妄想で音楽を奏でている風が良かったのに! 「聴かせて!」「いや。ちょっとどこかにいってしまいましたね、音源。また見つかったら持ってきます」と聞いて早半年。音源はまだ聴けていないけれど、ロック自身の最新号(73号!)が、浄土寺センターにポンと置かれていた。うわ、最新号だ。というか、何年ぶり?

どうやら1年半ぶりだったようだ。かなり前から書き始めてて(というか、直で1枚の紙に書いてるんだ、星さん)、どんどん時間が経って、どうも1月の中旬に出来た様子。コロナ騒ぎのことはまったく書かれていないから、ホントに1月中にできていたのだろう。でも、今日初めてこの号みたぞ。浄土寺近辺にまでたどり着くのに、また3ヶ月かかっていたのだな。

内容は……それは、もう、拾って読んだ人の特権なので、何も語らじ。面白いかって? いや、そういうことじゃないのですよ、「ロック自身」は……って自分もよく知らない。

とにかく、まだ日常が続いていることに、ホッとしているやら、少し残念やら。